最近「電話の取次ぎを嫌がる新入社員が増えている」という内容の記事を目にしました。
電話が嫌で辞める若者 上役への取り次ぎすら苦痛(外部リンク)
「知らない人といきなり話さなければならない状況が苦手」
「周囲にいる人に自分が話す姿を見られる(話を聞かれる)のが嫌」
「いつかかってくるかわからないから不安で仕事に集中できない・・・」
私も視線恐怖症・対人恐怖症だった頃は会社の代表電話に出るのがとても嫌だったので気持ちはよくわかります。
今回は電話恐怖症とは何か、どう対応すればよいのか、といった点についてお話ししたいと思います。
目次
電話恐怖症とは?
電話恐怖症は対人恐怖症の一種で、一般的には
・周囲の目を気にするあまり、他人が近くにいる状況で電話をすることに恐怖を感じたり過度に緊張すること
を指します。
電話恐怖症の症状をチェックする
電話恐怖症にも様々な症状があります。
以下に代表的な症状をあげてみたので、自分がどれに該当するか確認してみてください。
1.(会社の代表電話など)誰からかかってきたかわからない電話に出るのが怖い
2.よく知らない人に電話を取り次ぐのが怖い
3.他人がそばにいる状況で電話をするのが怖い
あなたは1~3のどれに当てはまったでしょうか。
どれに該当するかで対処方法は大きく変わります。
■1.2.だけ該当する⇒ケース1へ
理由は後述しますが、そこまで深刻に悩む必要はないケースです。
■3.に該当する⇒ケース2へ
1.2.だけでなく3.も該当する場合は本格的な治療が必要と思われます。
対人恐怖症の症状が電話恐怖症という形で表に現れている状態と考えられるからです。
・他人に会話の内容を聞かれている気がして普段通りにしゃべることができない
・自分の話し方について、周囲から笑われている気がする
・周囲の目を気にして当たり障りのない話や自分を大きく見せるような話ばかりしてしまう
こういった心理状態にある方は要注意です。
ケース1:電話の取次ぎに不安を感じる場合
先ほど1.2.だけに該当する方は深刻に悩む必要はないと言いました。
理由は単純で、
・不特定多数の人から電話がかかってくる
・電話を他人に取次ぐ
といった経験が浅い(または無い)ことが原因だからです。
おそらく今現在電話の取次ぎに悩んでいるのは社会に出てから1~3年内の若い方がほとんどではないかと思います。
そして彼らは携帯電話の普及により家に固定電話がなく個人間で連絡をするのが自然な環境で育った世代です。
当然ながら見ず知らずの人からの電話を取り次いだ経験などないでしょう。
知らないものは怖いし不安。これは当たり前のことです。
取次ぎの経験がないことは悪いことではない
上の世代からすると
「電話の取次ぎもできないのか」
と言われそうですが、これは全く悪いことではありません。
たとえば
石器時代の人に「獲物の捕らえ方も知らないのか」と言われて自分を情けなく思いますか?
誰もそんなことは思わないはずです。
今はほとんどの人は狩りをする必要のない世界で育っており、全く必要のない能力だからです。
時代が遠すぎるのでもう少し身近な話をすると
最近漢字が(読めはするけど)書けない人が増えたと言われていますが、これも問題でしょうか?
これも問題ないと思っています。
手書きで文字を書く機会が激減している状況を考えると極めて自然なことと思います。
そして今の人が怠けているかというとそうではなく、狩りや漢字の書き取りをする時間を当時存在しなかった分野(プログラミングなど)の学習に充てているのです。
電話の取次ぎも同じです。
誰だって直接目的とする人と話ができるのが理想であって、それが難しいから昔は取次ぎという形をとっていたにすぎません。
携帯電話が普及し個人間での連絡が当たり前になった今の時代において、電話の取次ぎは必要のないものになりつつあるのです。
電話の取次ぎは今後激減する
私の職場にも代表電話はありますが、以前と比べて鳴る回数は大幅に減りました。
誰かに電話を掛けたいときは、その人の携帯電話に直接かけるか、知らなければ知っていそうな人に番号を聞く。
ほとんどの場合はこれでなんとかなります。
まれに代表電話経由で私宛に連絡が来るときもありますが、たいていは40代以上の方からです。
世代が一巡する頃には個人間で連絡を取るのがごく当たり前になっていることと思います。
もちろん代表電話が無くなることはないでしょうが、何でもかんでも「とりあえず代表電話に」という時代は遠からず終わりを迎えることでしょう。
電話の取次ぎに対する恐怖を和らげる対策2つ
さきほど電話の取次ぎは今後減っていくと言いましたが、今困っている人はそんなに先まで待てないことと思います。
そこで即効性のある対策を2つ紹介します。
対策1:電話の取次ぎはパターンを憶えてしまえばかんたん
取次ぎが嫌いという方、自分がこれまでどんなやり取りをしたか少し振り返ってみてください。
「はい。〇〇(会社名・部署名)です」
「△△(取次ぎ先)ですね。少々お待ちください」
「△△さん、××さんからお電話です。□番の電話機に転送します」
「△△はただいま席を外しております。折り返しお電話いたしましょうか」
「かしこまりました。失礼ですがお名前と連絡先をお伺いしてもよろしいでしょうか」
かかってくる電話の8割方はこれらのパターンで完結していませんか。
面倒で緊張するものではありますが、実際にやっていることは決まり切った定型的なパターンの会話を状況に合わせてする。
これだけなのです。
わかっていてもいざ電話に出ると緊張してどうにもならない、という方は以下のパターン例を参考に、話す内容をいつでも見られる場所にメモしておくと安心です。
<パターン例>
・あいさつ
・相手の会社名・名前、取次ぎ先を聞く
・取次ぎ先に転送する
・取次ぎ先不在の場合はその旨を伝える
・折り返し連絡を求められたら相手の連絡先を聞いて控える
・(転送せず切る場合は)切る前に一言お礼
対策2:迷わずに済む状況を作る
いつかかってくるかわからない電話を不快なものとして認識してしまうと、仕事中ずっと不安感をつのらせるばかりで何もいいことはありません。
「誰かが代わりに出てくれないかな」
といった気持ちで逃げ続けていると、仮に何度か出ずに済むことがあっても自分が出ざるを得ないときにとても辛い気持ちになります。
「電話は出るもの」
と言い聞かせて何も考えずに電話を取るようにすると無駄に悩む必要はなくなります(あなたが電話をとる必要がある立場にいるならなおさら)。
そうして経験を積むうちに自信が生まれ、電話に出ることに対する恐怖が徐々に薄らいでいきます。
何事もそうなのですが
「やらなくて済むかも」
という選択肢があるとかえって辛いものなのです。
迷いの元をあえて自分から絶ち、早々に自信をつけてしまいましょう。
そして悩んでいた時間を他の有益なことに使いましょう。
ケース2:他人の目が気になる場合
ケース1よりも深刻なのがこちらのケースです。
・他人に会話の内容を聞かれている気がする
・自分が話す様子を他人に(内心)笑われている気がする
こう考えてしまう方は電話恐怖症であると同時に対人恐怖症である可能性が高いです。
というのも上記のように
他人からどう見られているかを過剰に気にする
のは対人恐怖症の典型的な症状だからです。
もちろん他人の目を一切気にせず生きている人などいません。
ほとんどの人は個人差はあれ、他人の目を意識しながら生きています。
簡単に言うと、対人恐怖症(電話恐怖症)の方はこの「他人の目を気にする」度合いが極端に大きいのです。
電話恐怖症ではなく対人恐怖症としての対策が必要
上記チェックで対人恐怖症の結果が出た方は電話恐怖症単体で対策を考えるのではなく、対人恐怖症という大きなくくりでの克服を目指すことをお勧めします。
「なぜあなたは他人の目を過剰に気にしてしまうのか」
この大本の問題に対する答えを自分で出さない限り、根本的な解決にはつながりません。
深く深く自分自身に問いかけて心の奥にある真の原因を探し出し、そこに対策を打つのです。
自分自身の物事に対する考え方やとらえ方(価値観)を変えるのは長い時間を必要とする大変な作業ですが、あきらめずに継続することで必ず快方に向かいます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
電話の取次ぎについては、先述した通り今後徐々に減っていくでしょうし、今悩んでいる方もちょっとした準備や心構えをしておけば恐怖心は大きく減るはずです。
そして取次ぎに関係なく他者がそばにいると普通に話せない、という方は一度電話への恐怖から頭を離して
「そもそもなぜ他者の目を過剰に気にしてしまうのか」
という大本の課題に目を向けてみてください。
自分自身を見つめなおす過程で新たな発見があることでしょう。
他者の目を気にすることなく生きることができるようになると人生が本当に楽しくなります。
今悩んでいる皆様が1日でも早くその段階に達することを願っています。
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