なぜ人混みや混雑を苦手と感じるのか?6つの視点で考えてみた

私は人混みが苦手です。
視線恐怖症だった頃は混雑している所に行くのが怖くて仕方ありませんでした。
その後視線恐怖症を克服したおかげでかなり平気にはなりましたが、今も苦手意識はあります。

なぜ混雑が苦手なのか、対処法はあるのか、私が普段考えていることをお伝えしたいと思います。

【苦手な理由1】自分の好きなペースで行動できない

まず最初に思い浮かぶのはこれかと思います。
・前の人のスピードに合わせて歩かなければならない
・列に並んでじっと待たなければならない
などなど、人混みにいるとこのように我慢を強いられる場面に多々遭遇します。

人は基本的に「自分の思った通りに自由に動きたい」という欲求がありますので、これを制限されるとストレスを感じるのは当然です。

【苦手な理由2】時間を無駄にしたくない

次はこちらです。
理由1で述べたように、自分のペースで物事を進められない、ということは1分1秒を大切にしている方にとっては大きな損失です。
年齢を重ねるほど痛感しますが、時間は何よりも貴重です(貧富にかかわらず平等なので)。

「人混み・混雑は自分の貴重な時間を奪う。お金で解決できるなら高いお金を支払ってでも避けたい」
という考え方はとても合理的で納得感があります。

【苦手な理由3】警戒疲れ

ここからは他者との関係で生じる原因に踏み込んでいきます。
最初に挙げるのは他人への「警戒疲れ」です。

野生動物は見慣れないものに遭遇したとき、ほとんどの場合一目散に逃げだします。
当然ながら人間も動物であり、見知らぬものに警戒心を抱くのはごくごく自然なことです。

・知らない人がたくさんいる恐怖
・見ず知らずの他人と次々にすれ違う恐怖
数百年前まではこのような心配をする必要はほとんどなかったのですが、人口が急激に増えた今、誰もがこのストレスと向き合わなければならなくなっています。

よくテレビ番組で大自然の中で生きている人を大都市に呼んで、そのギャップに驚く姿を視聴者に見せる、というものがあります。
こうした番組の中でよく出てくるお決まりの台詞が
「人が多すぎて怖い」
というものです。

制作側としてはその反応が面白い、ということなんでしょうが、冷静に考えたら彼らのほうが正常で、私たちがおかしな状態に慣れすぎているだけ、と考えることもできるのではないでしょうか。

【苦手な理由4】視線恐怖症

最初に述べた通り、以前の私はこれでした。
原因はさまざまなのですが、何らかのきっかけで「他人から見られること」「他人を見てしまうこと」に異常なまでの恐怖を感じるようになる状態のことを指します。
他人との関係に悩む、という点では理由2の「警戒疲れ」と重なるところがあります。

視線恐怖症という言葉が初めての方はこちらもご参照ください。

・自分の容姿・挙動を他人に笑われているのではないか(他者視線恐怖症)
・自分の視線が他人を不快にしているのではないか(自己視線恐怖症)
このように、「自分はこの場に相応しくない」「虐げられている」「見下されている」と感じ、一刻も早くここから立ち去りたいと思うようになります。

【苦手な理由5】逃げ場がない(パニック障害)

パニック障害については近年認知度が上がったのでご存じの方も多いと思います。
前触れなく動悸・息切れ・めまいなどに襲われる症状で、対人ストレスが原因と言われています。

パニック障害の方は、人がたくさんいる場所・狭い空間を怖がる傾向にあります。
「この状況で発作が起こってしまったら逃げ場がない。どうしよう」
と不安になってしまい(予期不安)、その思いがさらに人混みへの恐怖を増幅させてしまうのです。

【苦手な理由6】自分の存在の小ささを意識させられる

最後はこちら。
今の私にとってはこれが一番大きな原因かなと思っています。

「人は一人で生きているんじゃない」
「たくさんの人がいて、それぞれに異なる背景や価値観を持っている」
こういったことは頭では良くわかっているつもりです。
でもいざそれを現実のものとして目の当たりにすると、自分がとてもちっぽけな存在なのではないかと考えてしまい打ちのめされてしまうのです。
「その他大勢」になった気持ちになる、と言い換えてもいいかもしれません。

これは個人的な感想ですが、自尊心が強い人ほどこのように感じる傾向があるような気がします。

対策は?

ここまで人混みや混雑が苦手な理由を挙げてみました。
改めて整理してみると本当に理由は様々、人それぞれですね。

ではどうすれば苦手意識を抑えることができるのでしょうか?
私なりに効果があるなと思った対策を3つ紹介したいと思います。

【対策1】情報を収集する時間だと思う(他人に興味を持つ)

人混みの不快感は消そうと思って消せるものではありません。
であれば、それをどうにかしようとあがくのではなく「貴重な情報収集の機会だ」と思うようにしてはどうでしょうか。

見知らぬ人、普段接点のない人を大量に見る機会は実はそう多くありません。
例えば投資をする人であれば、街を歩く人の服装・表情・持ち物・男女の割合・国籍・会話の内容等から今後の投資先に関わる情報が得られます(若い人はあのアプリを使っている、最近この地区に女性が増えた。あのチェーン店は最近客がいないな、等)。
投資に限らず街行く人の日々の変化を見ることで気づくことは多いです。

仕事に活かしてもいいですし、単に自分の好奇心を満たすためでも良いと思います。
不自由な時間を逆に楽しむきっかけにしてみてください。
そうすると不思議なことに他人への興味が増してイライラすることが減ります。
私は以前は他人の話声を聞くのが嫌なほうだったのですが、今は「何を話しているんだろう(聞きたい)」という感じで真逆の感情を持てるようになりました。

【対策2】 世の中を正確に数字で把握する

・世界の人口は約77億人(2019年)
・日本の人口は約1億2600万人(2020年)
出典:国際連合広報センター
出典:総務省

この辺りは皆さんもご存じですよね。
では自分のお住まいの地域の人口は知っていますか?
あなたが毎日乗り降りする駅の乗客数は何人か知っていますか?

ここまでくるとおそらく知らない方が多いのではないかと思います。

例えば東京都世田谷区・経堂駅で調べてみたところ、世田谷区の人口は約92万人、区内にある経堂駅の1日の利用者数は82,540人(下北沢だと121,739人)でした。
出典:千代田区
出典:小田急グループ

これだけ人がいたら「混雑するのも仕方ないな」と思えてきませんか?
置かれている状況が同じでも、事実を把握しているのとそうでないのとでは感じ方が全然違ってきます。

「世の中には多くの人がいて、それぞれが固有の価値観を持って生きている。自分はその中の一人にすぎない」
世の中をクリアに見れるようになると、こうした考え方が自然にできるようになります。

不安や恐怖の多くは「知らないこと」が原因で発生します。
逆に言えば、現状を正しく知るだけで不安や恐怖の多くを克服できる可能性がある、とも言えるのです。

【対策3】意識を他のことに向ける

「あの人マナー違反している。嫌だな」
「今すれ違った人に気持ち悪いやつと思われなかったかな・・・」
「この人はどんな人生を歩んできたんだろう」
あれこれ考える余裕があるとつい不要なことまで考えてしまいがちです。

そうならないためには頭を他のことでいっぱいの状態にすると良いです。

・今日(明日)やることの整理
・数学の問題、パズルなど
・将来のこと
何でも良いのでとにかく夢中で考え続けられることを題材にするとうまくいきやすいです。

対策1のようなやり方は無理だな、と思った方はこちらを試してみてはいかがでしょうか。

まとめ

人混みや混雑は避けられるならそれに越したことはありません。
しかしやむを得ずその中に行かなくてはならないこともあると思います。

そうしたときは漠然と悪い感情を持つのではなく
・発想を転換して逆に有益な時間にする
・事実を把握して不安や恐怖を消す
・他のことに意識を向ける
といった対策で乗り切りましょう。

※視線恐怖症等、上記対策ではどうにもならないほど悩んでいる方は以下も参考にしてみてください。



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