視線恐怖症の人にありがちな7つの誤解


視線恐怖症に苦しんでいる方の多くは
「自分が視線恐怖症であることを他者に知られたくない」
と考える傾向にあり、その悩みを他者に打ち明けることはほとんどありません。

打ち明けたとしても、視線恐怖症の経験が無い人からするとあなたの”苦しみ”は理解しがたいもので、多くの場合適切なアドバイスを得ることができずに終わってしまいます。

そのため何が原因でこんなに苦しんでいるのか正しく理解できていない方が多いように思います(私自身そうでした)。

ここでは視線恐怖症の人が陥りがちな誤解を紹介します。
ちょっとキツい言い方をしているところもありますがご容赦ください。
現状を正しく認識して、治療に向けた正しい第一歩を踏み出しましょう。

誤解1 自分は見ていないのに他人がやたらと自分を見てくる。見ていないのに見るなと言わんばかりの態度をとられる

これは大きな誤解です。
仮にあなたが他人に見られているのが事実だとしても、それはその前に
あなたが他人を見ている(意識している)のが原因です。

「いや、そんなことはない」
という方、ちょっと考えてみてください。
あなたはなぜ他人がこちらを見たり嫌な顔をしたりするのがわかるのでしょうか。
それはあなたが他人を見ている(意識している)からです。

「他人をあえて見ないようにしているのになぜ・・・」
という方も同じです。
見ないようにする、という時点で相手のことを思い切り意識している
ことに気づいてください。

この事実に気づいていない方が思いのほか多いです。
勘違いしている人は真っ先に認識を改めたほうがいいでしょう。

※誤解の無いように言っておくと、単に他人を見ること自体には何も問題はありません。
他人の存在を過剰に意識し、怖れたり身構えたりすることが自分自身の被害意識を高めたり相手を身構えさせる原因となっています。

誤解2 自分がブサイクだから他人に嫌がられる。美形・美人だから他人から敬遠される

これも違います。
外見そのものは視線恐怖症とは全くの無関係です。
そんなことを言っていたら世の半分くらいの方は視線恐怖症ということになってしまいます。

想像してみてください。
禿げて太ったおじさん(失礼!)は軒並み避けられていますか?
そんなことはないでしょう。

美男美女だったらどうでしょう。
好奇の目で見られることはあるかもしれませんが、それを理由に「こっちを見るな」といわんばかりの態度をとられることはないはずです。

では挙動不審な人がいたら・・・?
きっと一定数の人はその人を避けるのではないかと思います。

視線恐怖症の人は他人からはやや挙動不審気味に見えています(キツい言い方ですがあえてこう表現しています)。

原因はあなたの外見そのものにはありません。
あなたの心理状態にあるのです。

誤解3 異性に限って自分に目隠しをする。女(男)は嫌いだ

※【用語解説】目隠し:他人が自分の視界に入らないよう手や物などで視界を塞ぐこと

心のどこかに「異性に嫌われたくない」「好かれたい」という思いを持ってはいないでしょうか?
異性を前にすると同姓の人と話すときよりも緊張している自分がいませんか。
それが相手に伝わると相手も当然身構えることになります。

そう言うと「いや、そんなことはないよ」と返す人が多いのですが、本当にそうでしょうか。
一度「強がり」や「思い込み」から離れて自分の言動を振り返ってみてください。
今まで見えていなかった(あえて目を背けていた)点に気づくことができるかもしれません。

※おじいさん、おばあさんが相手でも男女差があるかどうか考えてみるとわかりやすいかもしれません。

誤解4 こんな症状の人間は自分ひとりではないか

そんなことはありません。同じ苦しみを持つ人はたくさんいます。
私も長い間そう思っていました。
表を歩いている人を観察しても私ほど頻繁に目隠しされる人なんていませんでしたから。

しかし実際のところ、視線恐怖症に苦しんでいる方は結構な割合で存在しています。
正確な数はわかりませんが、視線恐怖症という言葉が存在し悩みを告白するサイトが開設され、それを見て賛同する人たちがいる。
これだけでもあなた一人ではないことはわかるはずです。

悩んでいるのはあなた一人ではありません。
少なくとも私はあなたと同じ悩みを経験した仲間です。

誤解5 視線恐怖症でない人はこの苦しみがなくてうらやましい

人間誰しも悩みはあります。
視線に関する悩みも当然あります。
視線恐怖症というのは特殊な病気ではありません。
誰でも他人に意識されるのは嫌ですし、自分が意識を向けることで不快な態度をとられたら嫌なものです。

視線恐怖症の方は「不快な態度をとられたら嫌だ」という思いが「他者と触れ合うことで得られる喜び」に勝ってしまっている状態にあるだけで、他は普通の人と何一つ変わりません。

自分が特殊な人間であると考える必要はありません。
心の持ちようを改善しさえすれば必ず治る病気です。

■視線恐怖症でない人
他者に不快な態度をとられるのが怖い<他者と触れ合うことで得られる喜び

■視線恐怖症の人
他者に不快な態度をとられるのが怖い>>>>>他者と触れ合うことで得られる喜び

誤解6 他人が自分の視界に入るとアウト。でも入らないようにしてもそれが不快だと言われる。どうすればいいのか

苦しいとき、どうすれば他者を視界に入れないようにできるか、必死で模索された方は多いと思います。
しかしながら日常生活を営むうえで他者を視界に入れずに生きていくのはほぼ不可能です。

誤解1でも述べましたが、視線恐怖症を治すために一番最初に気づいてほしいのは、他人があなたを避けたいと思う理由が
「あなたの視界に入ったこと」
にあるのではなく
「あなたに過剰に意識されたこと」
にあるということです(視線恐怖症の方の多くがここを誤認識しているように思います)。

問題は他者を意識しすぎるのを恐れるあまり他者を避けようとする、その姿勢にあります。
「怖いことから逃げようとするとさらに怖くなる」という悪循環に陥っているのです。

誤解7 視線恐怖症のせいで自分は周りから相当嫌われているだろうな・・・

隣の席の人からは目隠しをされ、すれ違う人からは高確率で咳払いをされる毎日。
自分はさぞ周りから嫌われているのだろう、と考えてしまうのも無理はありません。

しかし、この時点では「人見知りの激しい人」「ちょっと気難しい人」くらいにしか思われておらず、本格的に嫌われているわけではありません。

むしろそう思い込むことによってあなたが以下のような態度を取ることのほうが問題です。
・自暴自棄な態度をとる
・相手に敵意を向ける
・意識的に他者との接触を避ける

こんなことを繰り返す人は本格的に嫌われたり敬遠されたりするようになります(当たり前ですね)。

おわりに(まとめ)

ここまで述べた誤解についてまとめると以下のような感じになります。

・目隠し・咳払い等されるのはあなたが他者を意識しているから

・視線恐怖症に外見は関係ない。原因はあなたの心理状態にある

・視線恐怖症に苦しんでいるのはあなた一人ではない

・視線恐怖症は特殊な病気ではない。誰しも少なからず持っているものである

・他者を避けようとし続ける限り視線恐怖症は治らない

・視線恐怖症であることのみを理由に嫌われることはまずない

いずれも視線恐怖症の治療を始めるための第一歩となる考え方ですから、しっかりと覚えておいてください。