目次
「メガネで視野を狭くできないだろうか」と考えていた頃の話
視線恐怖症に悩み試行錯誤を繰り返していた頃
「メガネを使って視野を狭くして、人を視界に入れないようにできないか」
と考えたことがあります(今思えば完全に間違った方向を向いていました)。
こちらの対策1、対策2(あえて裸眼、テンプル部の太いメガネを着用)なのですが、今回はそこに至るまでの経緯や他のメガネの検証内容について紹介できたらと考えています。
下記まとめの重症度「レベル3(死ぬほど辛いがなんとか日常生活をこなせる段階)」より症状が重い方に見ていただきたいです。
実験内容
様々な観点(レンズの大きさ・縁の太さ、など)から用意した6種類のメガネを1つずつ着用し
・正面の視界
・左右の視界
が標準タイプ(下記タイプ1)と比較してどう変わるか検証します。
普段着用できないと意味がないので、実用性の観点も考慮します。
6つのメガネの紹介と実験結果
紹介文に出てくる用語(型・パーツの名前)がわからないときは以下をご参照ください。
メガネの基礎知識(JINS公式サイトへ)
タイプ1:標準
【主な特徴】
・オーバル型(丸型)
・レンズ小さめ
・レンズの縁は細い
・テンプル(耳にかけるところ)は細い
世間一般でよく見られる形のメガネです。
これといった特徴は特にありません。
標準タイプとしての位置づけです。
【視界】
レンズの縁、テンプル部は見えますが、ほとんど気にならないレベルです。
メガネをかけることで視界が狭くなる感じは全くありません。
そもそもメガネは「着用者の視界を遮らないように」という思想のもと作られているので
当然といえば当然ですね。
タイプ2:テンプル部が太いタイプ
【特徴】
・スクエア型(四角型)
・レンズ小さめ
・レンズの縁は細い
・テンプル(耳にかけるところ)が太い
タイプ1とほぼ同じですが、テンプル部が太いのが特徴です。
【視界】
正面の視界はタイプ1と同じですが、左右の視界がある程度塞がれるため脇見恐怖症の方には効果があると思われます。
ただ完全に視界を塞いでくれるわけではなく、太いテンプルの上下の隙間から周りが見えてしまうので注意が必要です。
タイプ3:縦長レンズ+レンズの縁が太いタイプ
【特徴】
・ウェリントン型(タイプ1と比べて縦が長い)
・レンズが大きい
・レンズの縁が太い
・テンプルが太い
レンズが縦に長いタイプ、レンズの縁が太いタイプを試したかったので加えました。
色がおかしいのは無視してください(これしかなかった・・・)。
ただ色を抜きにしてもレンズの縁がかなり太く、メガネ単体でかなり目立ってしまうので実用には不向きかと思います(これを何のためらいもなく着用できる人はおそらく視線恐怖症にはならないと思います)。
【視界】
・レンズが縦に長い
⇒これ単体では見えるものは何も変わらないので意味はなさそうです。
・レンズの縁が太い
⇒正面の視界(特に上下)がやや狭くなりますが、気休め程度です。
見える範囲にはほとんど変わりはありません。
タイプ4:花粉症対策メガネ
※レンズから目・こめかみにかけて隙間が出ないように作られている
※左右の上下もしっかりガード
【特徴】
・スクエア型
・レンズ小さめ
・レンズの縁は細い
・レンズ周辺部が全て覆われている
近年世に出回り始めた花粉症対策タイプです。
花粉が目に入らないよう、目の周辺がゴーグルのように覆われています。
【視界】
レンズを通して見えるもの以外は何も見えません。
そのため左右の視界がほぼ完全に塞がれます。
「ほぼ」と言ったのには理由があって、レンズを通して見える視界が思ったより広く、左右が結構見えてしまうのです。
ただその範囲さえ気をつけていれば左右の心配はかなり軽減されるでしょう。
タイプ5:サングラス
【特徴】
サングラスです。
形状による違いというよりもレンズに色がつくことによる違いを調べる目的で加えました。
【視界】
視界が薄暗くなるので通常のメガネに比べると多少安心感が増します。
が、相手から見え、こちらからも見える、という点で変わりはないので効果は気休め程度です。
利用シーンも限られるので実用性の面でも厳しいです。
タイプ6:ミラーレンズ
※正面から見ると鏡のように見える(手前の輪ゴムが映っている)
※メガネを掛ける側からは反対側にある輪ゴムが見える
【特徴】
明るい側から暗い側を見ようとしたとき鏡のように見え、逆からだと向こう側が見えるというマジックミラーの原理を利用したメガネです。
通常はサングラスと同じく目を守る用途で使用されています。
【視界】
画像を見てもらえればわかると思いますが、レンズに映っているのは手前の輪ゴムでレンズの反対側は見えません。
「相手からは自分が見えない」という安心感があり、他者視線恐怖症の方には効果があると思います。
ただし利用シーンが極めて限られるので日常生活での着用は無理でしょう。
タイプ7:裸眼
【特徴】
視力が低いという前提でメガネを着用しないパターンです。
【視界】
視界がぼやけた状態なので正面・左右ともやや安心感があります。
文字が見えない状態のままなので、学校・職場では度付きメガネが
必要になるでしょうから実用面ではやや難ありです。
実験結果まとめ
ここまでの結果をまとめてみました。
■特徴別の効果有無判定
特徴 | 効果 |
レンズの大きさ | 縦横どちらも視界に影響なし |
テンプル部の太さ | 太さに比例して左右の視界に効果あり。全体を覆うタイプは効果大 |
レンズの縁の太さ | かなり太いと若干視界が狭くなるが気休め程度 |
レンズカラー | 気休め程度の効果。ミラーレンズは効果あり。 |
度の有無 | 度なし(裸眼)だとやや効果があるが、実用面で難あり |
■タイプ別の総合判定
タイプ | 正面視界 | 左右視界 | 実用性 | 実用性コメント |
【タイプ1】 標準 | × | × | ◎ | |
【タイプ2】 テンプル部が太いタイプ | × | 〇 | ◎ | |
【タイプ3】 縦長レンズ+レンズの縁が太いタイプ | × | △ | × | 目立ち過ぎてしまう |
【タイプ4】 花粉症対策メガネ | × | ◎ | △ | 花粉症の時期は〇 |
【タイプ5】 サングラス | △ | △ | × | 利用シーンが限られる |
【タイプ6】 ミラーレンズ | 〇 | × | × | 利用シーンが限られる |
【タイプ7】 裸眼 | △ | △ | △ | 学校・職場では厳しい |
正面の視界
他者視線恐怖症の人にはミラーレンズタイプのメガネが有効。
ただし使用できる場面がかなり限られるため日常生活での使用は無理でしょう。
日常生活で利用できるメガネに絞るとどれも視界を塞ぐ効果は期待できません。
レンズや形状に何らか手を加えない限り求めている視界は得られないでしょう。
⇒【結論】どれを着けても一緒。目が悪い場合はあえて何も着けない選択(タイプ7)もあり。
左右の視界
脇見恐怖症の方には花粉症対策タイプのように上下左右全てを覆うタイプが有効。
ただし花粉症の時期以外だとまだまだ一般に浸透していない形なので着用に抵抗がある人も多いでしょう。
それにレンズを通して見る視界に限ってもある程度横は見えてしまうので完全に横を気にしなくて良くなるわけではありません。
こちらもレンズや形状に何らか手を加えないと完璧な対策にはならないと思います。
単純に縁が太いだけのタイプは全てを覆うタイプに比べると効果は小さいですが、着用しても違和感がないので一番実用的です。
⇒【結論】普段は「テンプル部が太いタイプ(タイプ2)」、花粉症の時期は「花粉症対策メガネ(タイプ4)」がお勧め。
最後にひとこと
最後に、これまで何度も言ってきたことではありますが、視線恐怖症をメガネなど一時しのぎの手段で何とかしようと考えるのは方向性として間違っています。
あくまで地獄の苦しみから脱するまでの一時的な補助という位置づけで考えていただければと思います。
根本的に克服するには自身の心と正面から向き合うことが不可欠です。
(おまけ)さらに視界を狭くするにはどうすれば良いのか。チャイルドビジョンを試してみる
市販のメガネでは視線恐怖症の症状を完全に抑え込むことはできない、という結論に達しました。
ではどこまでやれば納得のいく狭さの視界がえられるのでしょうか。
そこでたまたま見つけたのがタイトルにあるチャイルドビジョンです。
チャイルドビジョンとは?
紙で作る幼児視界体験メガネです。
6歳児が見える範囲を大人でも体験できるメガネで、もともとは子供の視界の狭さを知ることで交通事故防止に役立てる目的で作られたものです。
下記リンクからPDFデータをダウンロードして組み立てれば誰でも作ることができます。
Hondaの交通安全 トラフィック・パートナー/子どもの危険予測(外部サイト)
※リンク消えてしまいましたので以下の画像でイメージいただければと思います。
チャイルドビジョンを作ってみる
PDFデータをダウンロードして作成してみました。
ダウンロードして印刷
切り取り線に沿って切る
組み立てればできあがり
反対側(覗き込まない方)です
チャイルドビジョンを体験する
チャイルドビジョンを使ってみた感想ですが、想像以上に視界が狭くなります。
イメージとしてはこんな感じです。
ここまでやれば正面はともかく左右は完全に気にならなくなると思います。
逆に言えばここまでやらないと視線恐怖症患者の望む視界は得られないということです。
メガネで何とかしようとするよりも根本的な解決を目指す方が現実的だということがお分かりいただけたかと思います。
コメント
最近脇見恐怖症に適した横が太いメガネが完売で売ってませんね
どうしてるんでしょうか
私は周辺視野(特に横)拡大恐怖なので周辺視野で見るのが怖くてできませんからその訓練をしたいレベルです
周辺視野で見えているのにチラ見しないでいる訓練というか
コメントありがとうございます。
>最近脇見恐怖症に適した横が太いメガネが完売で売ってませんね
そうなんですね。
もしかしたら横が太いメガネのメリットに気づいた人が増えているのかもしれません。
ちょっと調べてみたのですが、以下はまだ販売されているみたいです。
https://www.zoff.co.jp/shop/g/gZA181033-14F1/
https://www.zoff.co.jp/shop/g/gZC191001-14F1/
https://www.zoff.co.jp/shop/g/gZY62017-C-1/
お値段とデザインとの相談になりますが、お気に入りのものがあれば幸いです。
僕は塾の自習室で勉強する際に両サイド真隣の人の動き視界に入って気が散って仕方がありません。紹介されているような花粉症対策メガネがとても良さそうに思えたのですが、今売っている花粉症対策メガネのほとんどがサイドの視野をクリアにしようと、一部を透明なフレームで覆っているものがほとんどで、理想のものが見当たりません。紹介されているような上下左右をしっかり黒いフレームで覆われているメガネはどこで買われたんですか?
コメントありがとうございます。
「横並びで座っていると全く勉強に集中できない」という状況、自分もそうだったので本当によくわかります。
>今売っている花粉症対策メガネのほとんどがサイドの視野をクリアにしようと、一部を透明なフレームで覆っているものがほとんどで、理想のものが見当たりません。
サイドが透明なのは最近の流行りのようで、確かにメジャーどころの花粉症対策メガネはほとんどこのタイプになっていますね。
記事で紹介したメガネは何年か前にAmazonで購入したもので、今も周囲を黒で覆っているタイプは売られているみたいです。
例えば以下のメガネは記事のものと全く同じではありませんが、左右の視界を塞ぐという点では十分に機能しそうです。
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%BA-%E8%8A%B1%E7%B2%89%E7%97%87%E5%AF%BE%E7%AD%96%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9-%E8%BF%91%E8%B5%A4%E5%A4%96%E7%B7%9A%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E5%85%89%E7%B7%9A%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BBUV%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E6%9B%87%E3%82%8A%E6%AD%A2%E3%82%81%E5%8A%A0%E5%B7%A5-%E9%AB%98%E6%80%A7%E8%83%BD%E9%AF%96%E6%B1%9F%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BA-%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BA-IRKG602-5LB/dp/B079Y6LLPK/ref=sr_1_42?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=%E8%8A%B1%E7%B2%89%E7%97%87%2B%E3%83%A1%E3%82%AC%E3%83%8D&qid=1563973942&s=gateway&sr=8-42&th=1
他にも似たようなタイプのメガネはいくつかありそうでしたので、Amazon内の検索等で探していただければ理想に近いものが見つかるかと思います。
これを機に落ち着いて勉強できるようになるといいですね。