くちゃくちゃと音を立てて食べる人、もし周りにいたらあなたは気になりますか?
私は気になる方でした。
特に以前対人恐怖症・視線恐怖症だった頃は周囲の言動に過度に敏感だったこともあり、いわゆるクチャラーは気が狂いそうになるレベルで許せない存在でした。
実際腹が立ちすぎて飲食店を出たこともあるくらいです(もちろんオーダー前ですよ)。

それほどまでに嫌いで仕方なかったクチャラーですが、今はそこまで気にならなくなりました。
普段殺意を抱くほど嫌っている方からすると「本当か?」と疑いたくなるかもしれませんが、実はちょっとした工夫で楽になる方法があります。
今回は私がなぜ気にならなくなったのか、きっかけになった出来事も含めお伝えしていきたいと思います。




私たちはなぜクチャラーに腹を立てるのか

対策に入る前に、そもそもなぜ私たちは他人の咀嚼音にこれほど腹を立てるのか、そこから考えていきたいと思います。

まずは私がクチャラーを意識しなくなるきっかけになった話をさせてください。


クチャラーの中国人に注意(指摘)して気づいたこと

中国人旅行客が爆発的に増えたころの話です。
日中働いていることもあり昼は外食することが多かったのですが、あるときクチャラーに遭遇する率が高くなったことに気付きました。
原因をたどるとそのほとんどが中国人らしき方で、結構な割合の人がくちゃくちゃと音を立てて食べていました。

以前の私は当然それを不快に思っていました。
なんと教養のない恥ずかしい人達なんだろう、と。

それからしばらくして、遠隔で一緒に仕事をしていた中国人社員が日本に来ることになりました。

彼はとても頭がよく礼儀正しい人で個人的にとても良い印象を持っていました。
しかし彼も食事をするとき音を立てて食べるのです。

このままでは他の日本人社員と食事した時の印象も悪いだろうし何より自分が耐えられない、そう思った私は「食事中音を立てるのは日本ではマナー違反だよ」とさりげなく伝えました。

すると彼は
「そうなのか。自分は子供のころからそういった教えを一切受けなかったし周りにもそれを気にする人もいなかったからこれがダメな行為とは全く思いもよらなかった。もし不快な気持ちにさせたのなら謝りたい。他にもマナー違反をしていたら遠慮なく指摘してほしい。」
と申し訳なさそうに言ってくれたのです。

私は自身の狭量さにとても恥ずかしい気持ちになりました。
同時にいままで偏見の目で見ていた彼らに謝りたい気持ちにもなりました(実際その後「あえて言う必要はなかった。申し訳ない」と謝りました)。

彼らからすると、食事中に音を立てる行為は
マナー違反でも何でもないごく自然な行為
だったのです。
※もちろんマナー違反と考える中国人の方もいます。広大な国なので地位、地域、世代によって価値観が大きく異なり、ひとくくりにするのは難しいです。

それ以降、中国人らしき方が音を立てて食べているのを見ても全く腹が立たなくなりました。
文字通り本当に”全く”です。


置かれている立場や価値観は人それぞれ

食事中にくちゃくちゃと音を立てるのに日本人も中国人も違いはありません。
しかし中国人が音を立てても気にならないが、日本人が音を立てると腹が立つ。
ここに怒りの原因につながるヒントがあると思いませんか?

結論から言うと、それは私たちが
「日本人は皆同じ環境・同じ価値観の中で生きている」
と考えているためです。

多様な文化・価値観・人種が混在する米国などと違い、日本では子供のころから均質的な教育を受けて育つため
「人により置かれている立場や価値観は違う」
という認識が比較的育ちにくいという事情があります。

そのためマナーにしても
「これが正しいはずなのにあの人は違反している。おかしい」
という一方的な思いを抱きがちです。


クチャラーを気にしないための対策3つ


「そう言われても腹が立つのはやめられない」
「気にしないでいるのは難しい」
という方もいると思います。

そこで気にならなくするための具体的な対策を3つ紹介します。


<NG対策>止めさせようと注意する(指摘する)

対策に入る前にNG対策からお伝えしたいと思います。

よく「何とかしてやめさせよう」と考えて実際に実行に移す人がいますが、これははっきり言って無駄な行為です(家族やごく親しい友人など、末永く付き合いたい人なら話は別ですが)。

世の中全員が同じ価値観で生きることなど不可能だからです。

仮に指摘した相手がクチャラーをやめたとして、また次に出会ったクチャラーにも同じように注意しますか?
こんなこと続けてもキリがないです。
生涯をかけた闘いになってしまいますよね。

「こうあるべきだ」と勝手に他人に期待をして、裏切られたと感じたら怒る。
これでは心が疲れるだけで何もいいことはありません。

「他人はコントロールできない」
「一人一人考え方は違うのだから、価値観がぶつかるのは当然あること」

という心構えでいれば心を乱されることもありません。
他人に勝手な期待をしないことが大切です。

「相手もこうしてくれるはず」
「こう思っているはず」
という自分本位の思い込みは捨ててしまいましょう。

クチャラーに出会ったら
「もしかしたら自分の何気ない癖が他人を不快にしているかもしれない。お互い様だな」
何事もなければ
「たまたま考え方が同じ人に会っていい思いをした。今日はいい日だな」
くらいの心構えでいるととても楽になれます。


<対策1>その場から離れる

何の工夫もありませんが”その場から離れる”。
これはとても有効です。

これが可能な状況であれば迷わず選択すべきです。
接したくないものに無理して触れ続ける必要はありません。
黙って距離をあければいいだけです。

ただそうもいかない状況で困る方が多いので以下2,3の対策が必要になります。


<対策2>やむを得ない状況にいるのではないかと様々な人の立場で想像してみる

先ほどの中国人の話のように、やむを得ない事情があるのだ、と納得できれば腹は立ちません。
そこで、実際に様々な立場に置かれている方の例を挙げてみました。
口で息をせざるを得ない人が思った以上にいることに気付くと、寛容な目で他者を見ることができるようになるかもしれません。


鼻が詰まりやすい体質のため口を開けて食べざるを得ない

クチャラーでない人からすると理解に苦しむかもしれませんが、体質的に鼻の穴が狭い人、慢性的に鼻炎がちな人は結構います。
彼らからすると、食事中口を開けるな、というのはなかなかに酷なことなのかもしれません。


鼻呼吸だけでは苦しいので日常的に口で息をしている

先ほどと似たような理由です。
肺活量が大きい方、体が大きな方に多いです。
普通の体型の人とくらべて必要な酸素の量が多いので、鼻呼吸だけではどうしても息苦しく、食事中もつい口が開き気味になってしまうようです。


自分の意思に関係なく口が動く(高齢者の口部ジスキネジアなど)

口が常に動いているお年寄りの方、誰しも一度は見たことがあると思います。
これは口部ジスキネジア(口唇ジスキネジア)といって自分の意思ではどうにもならないものです。
また高齢化すると、歯のかみ合わせが悪い、口を動かさないと唾液が出ない、といった問題も出てきます。
長生きすれば誰にでも起こりうることです。
また高齢者でなくても脳梗塞等の疾患が原因で同様の症状があらわれる方もいます。

(参考)お年寄りが口をもぐもぐさせる 口部ジスキネジア(不随意運動症)(外部リンク)


難聴で耳がきこえない(きこえづらい)ため音を立てていることに気付けない

身近にそういった方が存在しない人にはなかなか思いつきづらい観点です。
困難を抱えている人であることに気付かず、相手に不快感を示す⇒後で気づいて後悔する、という経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

世の中には様々な障害を抱えている人がいることを常に頭の片隅に入れておくとお互いに気持ちよく過ごせるようになりますね。


歯医者で麻酔をかけた後で唇を閉じられない

以前私自身が経験しました(笑)。
音を立てないように食べることは全然可能でしたが、麻酔の効き方次第では意識していないと音が出てしまうかもしれません。


<対策3>相手の事情・価値観はわからないので前向きに良い方にとらえる

音を立てて食べる(食べざるを得ない)理由、ざっと思いつく限りでもこれだけ出てきます。
他にも私達の思いもよらない理由がたくさんあることでしょう。
繰り返しになりますが、大切なのは置かれている立場、価値観は人それぞれということを常に意識することです。

彼らにしても、わざと人を不快にしようとして音を立てているわけではありません。
彼らは彼らの価値観・事情にしたがって食事をしているに過ぎないのです。

これは以前咳払いに関する記事でも述べたことですが
相手がどのように育った人か、どんな事情を抱えている人か、そんなこと他人である私達にはわかりません。

わからないのであれば、
きっと何か事情があるに違いない
と前向きにとらえた方が絶対にいいです。

無神経な人・マナーを無視する人、と腹を立てたところでその先に得るものは何もありません。

この考え方を実践するのはなかなか難しいと思いますが、ぐっとこらえて日々繰り返してみてください。
前向きな思考が徐々に習慣化して怒りが軽くなっていくことに気づくはずです。


さいごに

どうしても受け入れられない他人の振る舞い、一度気になってしまうとそれを意識せずにいるのは至難の業です。
そしてそれを「我慢する」「我慢しない」という軸でとらえると必ず失敗します。
「我慢する」と考えている時点でそれを強く意識していることが明白だからです。

そうした考え方を離れて、そもそも気にならないような工夫をすることが大切です。
・様々な人の立場に立って考える想像力
・多様な価値観を受け容れる寛容さ
・物事を前向きにとらえる受け止め力

あなたが変わることで周囲の見え方も大きく変わるはずです。

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