コラムではメインのページにない、私の体験も絡めたお話ができればと思っています。
今回は服装に関するお話です。

服装に対する強迫観念

視線恐怖症だった頃の私には
暗い色の服しか着てはいけない
という思いがありました。
「思い」というより「強迫観念」と言ったほうが近いです。

自分がどんな格好をしているか、何を着ているかなんてことは誰もいちいち
気にしてはいない、ということはわかっているつもりでした。
しかし実際はそうではありませんでした。

体が小さく華のない自分は明るい色の服を着てはいけない

自分で認めるのが恐かったこともあり言葉にこそしませんでしたが、
当時の自分は間違いなくそうした考えを持っていました。

視線恐怖症患者が服を買う、ということ

今はネットで服を買うことがあたりまえの時代になりましたが、
一昔前はネットで物を買う、ということ自体が珍しかったため
どうしても外出せざるを得ず、服を買いに出かけることすら一苦労でした。

特に服を買う、となると繁華街に出なければなりません。
近所のスーパーに出かけるのとはわけが違います。
おしゃれな格好に身を包んだ周囲の視線に敏感な人たちのなかに飛び込まなくては
ならないわけです。

友人と出かけるときはまだ何とかなりましたが、
一人で出かけるときは家から出るまで1時間以上悩んだり、出ることができても
何も買わずに戻ってしまったりと散々な結果ばかりでした。

(ここからはやや余談ですが)
その後、たまたま家の近くに小さなお店があることを知り、外から見た感じ
自分の嗜好に合いそうな雰囲気だったので意を決して入ることにしました。
初めて入るときはそれはもうめちゃくちゃ緊張しましたが、
店員の方がとても話しやすい方だったこともありすぐ落ち着くことができ、
以来お気に入りの店になりました。

視線恐怖症であることに何ら変わりはありませんでしたが、その頃から
黒、茶系だけでなく白や多少淡めの色の服も取り入れるようになっていきました。

小さい店舗だと最初の入りにくさはすごくありますが、
入ってしまえば嫌でも店員さんと話をすることになるので
最初の勇気さえあれば後はどうとでもなります。

視線恐怖症が治って

その後いろいろあって視線恐怖症を克服するわけですが、治って最初に実感するのが
一人で店に入るのが恐くない
ということです。

今は会社帰りに一人でふらっと百貨店に立ち寄ることもあります。
あまりに場違いなところはちょっと遠慮したいですが、普通の人が普通に入れる
ようなところには何のためらいもなく入れます。

さらにしばらくしてから気づいたのですが、視線恐怖症が治るのとともに
最初にお話ししたような強迫観念がすっかり無くなっていました。

当時は日が照っているときに帽子をかぶることすらできなかったのですが
(今考えると意味不明なのですが)今では全然抵抗無くかぶることができます。
ベージュのズボンをはくこともできますし水色のシャツを着ることにも全く抵抗はありません。
クローゼットの中身も随分と変わりました。

今回お伝えしたかったこと

視線恐怖症になると自分のやりたいことが自由にできなくなります。
そしてそんな状況に慣れていくうちに自分が自由に生きられなくなっている
ことにすら気づかなくなってしまいます。

皆さんに気づいてほしいのは、
自由を妨げているのは他ならぬ自分自身である
ということです。

上記の話を例にすると、
外出をためらった理由に他者の存在はあったでしょうが、外出しなかったのは
自分自身が外に出ないと決めたからです。
他人が力ずくで自分を制止したわけではありません。
暗い服ばかり買っていたのも自分で明るい色の服を買ってはいけないと
思い込んでいたからです。
他の誰もそんなこと禁止してはいません。

視線恐怖症に苦しんでいるとき、他者にその原因を見出そうとする人がいますがこれは完全に誤りです。
自分を直視することができず、他者のせいにして「これはどうしようもないことだ」とあきらめるのは
治療から遠ざかる行為です。

・自分が今何に縛られているか(自由にできないことは何か)
・なぜ縛られているのか(なぜ自由にできないのか)
自分自身を根本から見つめ直すことで視線恐怖症を治すための手がかりが見つかるはずです。



■参考
>対人恐怖症・視線恐怖症治療プログラムのご紹介


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